伊豆急下田駅―蛇石峠(じゃいし)―松崎バスセンター=修善寺駅(2014.7.17)←

2014年07月19日 16:59

 今年(2014年)の梅雨は本格的な雨空が続き、足が止められる機会が多い。 梅雨の晴間を狙い決行することにした。 伊豆半島の最後の未踏破峠として最南端の町"南伊豆町"と松崎町との境にある蛇石峠を目指した。 標高は324mで決して高いとは言えないが、首都圏からの足はちょっと遠く、チャレンジの機会が少ない。伊豆急下田線の終着駅下田からのランを輪行片道3時間で計画した。 薄曇りでちょっと天候が危惧されたが、下田に向うにつれ青空が顔を出し始め、逆に気温が心配になる天候に変わった。 降り立った下田駅は、関所風の門構えで歴史ある町であることを感じた。 すっから青空になった空の下、さわやかなランである。 青色の表示板に『蛇石峠』の文字を発見して、心を躍らせてメインの道路から分れ右折した。と言うのも、いつも目標とする峠に『XX峠』の名称表示の表示板、記念塔や杭があるだろうかと。  幾つになっても証を求めている自分が何故かおかしくも思う。 がそれらの証と共に記念の写真を撮りたいのである。 道のあちこちに『道を広げる工事をしています』と親切丁寧な看板が。 拡幅工事がすすめられ、つづら折りで歴史を感じられるこの道も、今度来る時は広く直線化された道がドーンと通り、その変わり様に驚かされるのだろう。 『この道路はXXからXXまで連続雨量○○mmをこえると通行止になります。』  この種の表示は、目指す峠の直前には必ず備えられてあり、『やっぱり険しい道なのだ。安全に』と自分に言い聞かせる呪文でもある。 道幅は狭いが幸い交通量も少なく登るにつれて樹木が道幅全体に木陰を作り、求める自然を満喫しながら登坂できた。高度が増すにつれて山全体から『シュワーンシュワーンシュワーン』と低い鳴き声が聞こえ出した。『ミンミン蝉』でも『くま蝉』でもなければ『ひぐらし』でも無く。 我が人生で初めて耳にする音色で今年も夏近いことを感じた。 100m前後の小さな峠を2つ越え緩やかな勾配で18キロ走行、そして徐々に勾配を増し時には39%の瞬間傾斜が2,30メートルで、手押しも多用し走破した。 スタートから約3時間で峠ピークに到達、しかしながらそこには期待した証は無くトーンダウンしてしまい、証に変わる町境として『南伊豆町』の表示板と共に愛車をカメラに収めた。 峠を下った松崎側では、風も少なく高温を感じ、これ以上の走行を見合わせ観光することにした。 全体の建築様式に驚かされた明治初期の学校、国定重要文化財『岩科学校(いわしな)』、漆喰芸術の『長八美術館』を鑑賞。 前者の入り口近くにある休息所土産店には、当然ながら他の客はおらず、手厚い"もてなし"を受けた。 良く冷えたおしぼりに冷たいお茶そして小皿に小分けされた4種の漬けものが、注文した特製アイスクリームに添えられた。 『お茶をお代わりしてくださいね』。 『きをつけてくださーい』と送られ、バスセンターへ向かった。 梅雨の晴れ間ということもあろうが、一人のサイクリストにも出会うことは無かった。  

帰路では 途中駅で電車を降り、7,8年振りに会社時代の友人と親交を温め、帰宅したのは日が変わる直前になった。